つわりはいつから?期間や症状・対処法を知って、無理せず乗り切ろう

妊娠・出産の基礎知識

  • つわり

2023/05/11

妊娠中に悩む方も多い、つわりの症状。特に初めて妊娠した場合など、「つわりはいつから始まるの?」「いつ頃落ち着くのだろう」と、不安に思う方もいるかもしれません。つわりと聞くと、吐き気や嘔吐、食欲不振などをイメージする方が多いかもしれませんが、症状はそれだけではありません。
また、症状は個人差が大きく、中には、妊娠中まったくつわりがない方もいます。つわりに不安を感じている方も、代表的な症状や対処法などを知っていれば、気持ちが少し楽になるかもしれません。

ここでは、つわりはいつから始まっていつ頃落ち着くのかをはじめ、代表的なつわりの症状や、つわりは赤ちゃんに影響するのかなどについて解説します。つわりの対処法も詳しく紹介しますので、つわりの期間を乗り切るための参考にしてください。

妊娠初期から見られることの多いつわり

つわり(悪阻)とは、主に妊娠初期から見られる、胃や胸のむかつき、不快感、吐き気、嘔吐、食べ物の好みの変化などの症状のことです。ただ、妊娠すると必ずつわりがあるわけではなく、中にはつわりの症状がまったく現れない方もいます。つわりがある場合も、症状や時期は人それぞれで異なります。
なお、つわりの有無や重さと、おなかの赤ちゃんの状態は無関係です。

つわりの原因

つわりは、妊娠によるホルモン分泌の変化によって現れる症状だとされています。前述したとおり、つわりがある方もいればない方もいますし、症状の程度も人それぞれです。
また、同じ方でも、妊娠のたびに症状が変わることも珍しくありません。例えば、「第1子と第2子の妊娠時では感じる症状が違う」「第1子のときはつわりが重かったけれど、第2子ではほとんど感じない」といったケースもあるのです。

つわりはいつからいつまで?

つわりの時期には個人差がありますが、一般的には次の時期がつわりの期間だとされています。開始時期やピーク、つわりが軽くなってくる時期を確認しましょう。

つわりの開始時期:妊娠5週頃~

つわりは、一般的には、妊娠5週(生理予定日から1週間後)頃から始まります。ただし、早い方では「生理が遅れているな」と思う頃からつわりが始まる場合もあり、つわりの症状がきっかけで妊娠に気づくケースもあるかもしれません。

つわりのピーク:妊娠8~9週頃

つわりの症状のピークは、妊娠8~9週頃だといわれています。つわりを経験した方は、この時期が最もつらかったと感じることが多いようです。ただし、開始時期と同じように、症状のピークにも個人差があります。

つわりが軽くなってくる時期:妊娠12週頃~

妊娠8~9週頃にピークを迎えたつわりの症状は、12週頃になると落ち着いてくることが多いとされています。ただし、これも個人差があり、以降も何らかの症状が続くことも。また、一度つわりが治まっても、しばらく経ってから再び症状が現れるケースもあります。

代表的なつわりの症状

続いては、つわりで感じることがある代表的な症状についてご紹介します。一通り押さえておけば、妊娠がわかったばかりの方も、心構えができるはず。

なお、つわりは朝目覚めたときや空腹時に比較的症状が重くなることが多いともいわれますが、症状や出方などには個人差がありますので、あくまで参考としてチェックしてみてください。

吐き気

つわりの症状として、胃や胸がムカムカして気持ち悪くなり、吐き気が起こったり吐いてしまったりすることがあります。このような症状を「吐きつわり」と呼びます。おなかが空くと吐き気が強まる一方、いざ食べようとしても気持ち悪くて食べられなかったり、症状が重いと水を飲むだけでも気持ち悪くなったりしてしまうのです。

一方、常に食べ物を口に入れていないと吐き気を感じる「食べつわり」という症状もあります。
そのほか、特定の物だけが気持ち悪くて食べられなくなったり、反対に特定の物ばかりを食べたくなったりするようなケースもあります。

においに敏感になる

つわりによってにおいに敏感になり、妊娠前は気にならなかったにおいや好きだったにおいに、不快感を覚えるようになることもあります。前述した吐きつわりと同時に起こり、ご飯の炊けるにおいや煮物の湯気、化粧品の香りなど、特定のにおいによって吐き気をもよおす方もいます。

眠気や倦怠感

眠気や倦怠感も、つわりの症状のひとつです。人によっては、しっかり睡眠をとっているのに強い眠気を感じたり、「なんとなく体がだるい、疲れている」といった倦怠感を覚えたりすることがあります。

つわりにはどう対処したらいい?

つわりの症状があるときには、まず「自分の体を楽にすること」を考えましょう。食べられないときには、1日3度の食事にこだわる必要はありません。症状がつらいときは家事や仕事もできるだけ無理をせず、可能な限り体を休めるようにしてください。具体的には、次のような点を意識して過ごすのがおすすめです。

食べたいときに食べられる物を食べる

つわりで吐き気があるときなどは、「赤ちゃんのためにしっかり食べよう」「栄養バランスの良い食事をとろう」などと気にする必要はありません。妊娠初期は、自分が食べられる物を、食べられるタイミングで食べれば大丈夫。食べる物が偏っていても、食べる時間がバラバラでも、あまり気にする必要はないのです。
というのも、妊娠初期は母体に蓄えられているエネルギーで、おなかの赤ちゃんはちゃんと育っていきます。食べられる物を優先して食べるようにしてください。

できるだけ無理せず過ごす

食事に限らず、つわりの症状がつらいときは、できるだけ無理をせずに過ごしてください。家族にも相談し、パートナーに家事を代わってもらうなどして体の負担を減らす工夫ができるとベストです。料理をするのが大変な場合は、レトルトやデリバリー、出来合いのお惣菜などを活用するのもひとつの方法。
また、仕事をしている方は早めに職場に相談し、状況が許せば時差出勤や時短勤務、在宅勤務などに切り替えられないか、相談してみるのも手でしょう。

簡単につまめる物を用意しておく

空腹時に吐き気を感じる場合は、食べたいときにすぐに口にできるような物を用意しておくといいかもしれません。
例えば、朝起きたときや深夜に気持ちが悪くなるようなときは、枕元にクラッカーやビスケットなど、横になったまま簡単につまめる物を準備しておくのもいいでしょう(虫歯には気をつけましょう)。朝目覚めたときにサッとつまんでから起きると、気分が楽になることもあります。

食べられないときは、栄養補助食品などに頼るのもおすすめ

食べ物の味やにおいで気持ちが悪くなってしまうときには、ゼリー飲料などの栄養補助食品の力を借りるのもいいでしょう。

また、葉酸(ビタミンB群の一種)は、神経管閉鎖障害という赤ちゃんの先天異常の予防やママの貧血予防のために、妊娠前から積極的に摂取したい栄養素です。無理のない範囲で、葉酸サプリや葉酸ゼリーなどを活用するのもおすすめです。

少量をちょくちょく食べる

常に口に食べ物が入っていないと吐き気を感じてしまう食べつわりの場合、一度にたくさんの量を食べると胃に負担をかけてしまうことがあります。少ない量を複数回に分けて、ちょくちょく食べるといいでしょう。また、吐きつわりでも、空腹時に吐き気が増すようなら、少量を小分けに食べておくことで、症状を抑えることに役立つかもしれません。
なお、特定の物が無性に食べたくなるようなときは、吐きつわりと同様に、自分の食べたい物を優先して構いません。

リフレッシュする時間も大切に

人と話したり、適度に体を動かしたりすると、リフレッシュして気分がまぎれることがあります。体を休めているよりも好きなことをしていたほうが気持ちが楽になるなら、うまく気分転換に取り入れてみてください。もちろん、無理をして運動やストレッチなどをする必要はありません。

におい対策も工夫を

つわりで特定のにおいに不快感がある場合は、そのにおいをできるだけ遠ざける工夫をしましょう。室内をこまめに換気する、外出時にはマスクを着用する、化粧品や洗剤などは無香料の物に変えるといった対策も効果的です。
また、ご飯や煮物、スープなどのにおいで気持ちが悪くなってしまうときには、冷ますことでにおいが減って食べやすくなる可能性があります。

つわりは赤ちゃんに影響する?

つわりのあいだ、妊娠前のように食事がしっかりとれないと、「おなかの赤ちゃんの健康は大丈夫だろうか」などと不安になるかもしれません。しかし、妊娠初期につわりがあっても、赤ちゃんの発育には影響しないので、心配しなくて大丈夫です。繰り返しにはなりますが、つわりが起こることの多い妊娠初期は、おなかの赤ちゃんもまだ小さく、まだそれほど多くの栄養を必要としません。たとえつわりで食べられなくても、元々母体に蓄えられている栄養で赤ちゃんはしっかり育ちます。

反対に、一切つわりがなかったとしても、つわりがないことで赤ちゃんの発育に影響することもありませんので、気にしなくて大丈夫です。

つわりが重症化したときは、どう対処する?

つわりの症状があっても、水分がとれて、日常生活に大きな支障がなければ特に問題はありません。しかし、吐き気がひどく水分もほとんどとれないときや、つらいときは我慢せずに次の妊婦健診を待たずにかかりつけの産婦人科を受診してください。

病院にかかれば、必要に応じて点滴や入院で治療することが可能です。適切に対処することでつらい症状が緩和することもありますから、我慢せずに相談することをおすすめします。

つわりの時期は無理をせず、自分が楽に過ごすことを優先して

つわりは妊娠8~9週頃にピークを迎え、12週頃になると落ち着いてくることが多いといわれています。ただし、時期や症状の現れ方、程度なども人それぞれ。同じ方でも、妊娠のたびにつわりの症状が変わることもあります。もちろん、つわりの症状が一切ない方もいるはず。

いずれにしても、つわりの有無や症状が赤ちゃんの成長に関係することはありません。ですから、例えば妊娠初期につわりで思ったように食べられなかったとしても、気にしなくて大丈夫。自分が食べられる物を、食べられる時間帯に食べましょう。
そして、つわりが起こっているときはできるだけ無理をせず、自分の体を楽にすることを優先して過ごしてくださいね。

監修

稲葉 可奈子 先生

産婦人科専門医・医学博士

京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。双子を含む4児の母。産婦人科での診療のかたわら、病気の予防や性教育、女性のヘルスケアなど、生きていく上で必要な知識や正確な医療情報とリテラシー、育児情報などを、SNS・メディア・企業研修などを通して効果的に発信することに努めている。

産婦人科専門医・医学博士

京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。双子を含む4児の母。産婦人科での診療のかたわら、病気の予防や性教育、女性のヘルスケアなど、生きていく上で必要な知識や正確な医療情報とリテラシー、育児情報などを、SNS・メディア・企業研修などを通して効果的に発信することに努めている。

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