前駆陣痛は本陣痛と違う?特徴は?準備したいことや先輩ママの体験談

妊娠・出産の基礎知識

  • 前駆陣痛

2023/05/11

臨月に入り、出産予定日が近づいてくると、特に初産の方は「陣痛はいつ始まるのだろう」「どんな痛みなんだろう」と、ドキドキするかもしれません。陣痛は出産の合図のひとつですが、人によっては本格的な陣痛(本陣痛)の前に、前駆陣痛(ぜんくじんつう)を感じることがあります。前駆陣痛とはどのようなもので、本陣痛とどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、前駆陣痛の特徴や本陣痛との違い、「陣痛かも?」と思ったときに準備したいことのほか、前駆陣痛に関する先輩ママたちの体験談についてもご紹介します。

出産の準備として起こる前駆陣痛

前駆陣痛とは、臨月に入ってから起こる、不規則なおなかの張りや痛みのことです。これは、子宮の筋肉が収縮することによって起こるもので、出産に向けて体が準備を始めている証拠です。「生理痛のような痛み」「おなかが張るような感覚」「おなかがキューッとする感じ」など、感じ方には個人差がありますが、痛みが弱かったり強かったりと規則性がなく、しばらく様子を見ていると自然と治まります。

なお、前駆陣痛はすべての妊婦中の女性に現れるものではなく、人によっては前駆陣痛がなかったり、前駆陣痛を感じなかったりすることも。
また、本陣痛の数日前に前駆陣痛が起こることもあれば、前駆陣痛から間もなく本陣痛が始まることもあります。もし、痛みや張りが治まらずにだんだん強くなっていく場合は、本陣痛かもしれないので病院に連絡しましょう。また、臨月よりも前に前駆陣痛のような症状が現れたときには、すぐにかかりつけの産婦人科を受診してください。

本陣痛と前駆陣痛の違い

本陣痛と前駆陣痛の大きな違いは、「痛みの規則性」です。前駆陣痛は、痛みの持続時間や間隔が不規則です。痛みが強くなったり間隔が短くなったりするわけでもなく、しばらくすると自然と治まります。

一方、本陣痛は、徐々に痛みが強くなり、痛みの間隔も規則的になっていきます。前駆陣痛とは異なり、しばらく様子を見ても治まることはなく、体の動きや姿勢を変えても痛みは消えません。
特に初めての妊娠では、前駆陣痛がわかりにくいことがあるかもしれません。何か気になる症状があり、症状が治まらないときには、かかりつけの産婦人科に相談するようにしてください。

本陣痛のサインとは?

特に初めての出産では、「前駆陣痛と本陣痛の区別がつかなかったらどうしよう」などと、不安に思う方もいるかもしれません。両者の違いとしては、前駆陣痛は「痛みの間隔が不規則で、少し休むと治まるもの」、本陣痛は「間隔が規則正しく、だんだん痛みが強くなってくるもの」と覚えておくといいでしょう。
なお、前駆陣痛から本陣痛までは何日か空くこともあれば、前駆陣痛からそのまま本陣痛が始まることもあります。

「本陣痛かも?」と思ったら、間隔を計ってみよう

おなかの張りや痛みを感じて、「もしかしたら本陣痛が始まったかも?」と思ったら、痛みの間隔を計ってみましょう。本陣痛でも、痛みがずっと続くわけではありません。子宮が収縮して痛みを感じる時間と、収縮が止まって痛みが治まる時間が交互に繰り返されるため、痛みと痛みのあいだには一定の時間があります。間隔が規則正しくなってきたり、痛みが強くなってきたりしたら、本陣痛の可能性が高いので、かかりつけの産婦人科に連絡してください。また、「前駆陣痛か本陣痛かわからない」というときも、同じく産院に連絡します。

なお、人によっては、陣痛の前に破水が起こることもあります。破水した場合は、陣痛の有無にかかわらず、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡することが大切です。破水かどうか分からない、という場合も、自己判断で様子をみずにまずはかかりつけの産婦人科に相談してみましょう。

本陣痛における微弱陣痛と過強陣痛

本陣痛が始まると、その後は出産という流れになりますが、お産の経過によっては「微弱陣痛」や「過強(かきょう)陣痛」になることがあります。

微弱陣痛とは、子宮の収縮が弱く、陣痛の間隔が長くなったり持続時間が短くなったりする状態です。陣痛が始まっても、微弱陣痛になると、分娩がなかなか進まなくなってしまいます。陣痛を補助するために陣痛促進剤を使用することもあります。
一方、子宮の収縮が強すぎて、陣痛の痛みが過度に強くなったり持続時間が長くなったりする状態が過強陣痛です。過強陣痛になると、おなかの赤ちゃんが低酸素になるなど、過度の負担がかかってしまいます。

微弱陣痛と過強陣痛は、どちらもママや赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性がある場合など、状況によっては緊急帝王切開になることもあります。

私の前駆陣痛はこうだった!先輩ママの体験談

前駆陣痛の有無や感じ方は、人それぞれ違います。ここからは、前駆陣痛に関する先輩ママたちの体験談をご紹介します。

今思えば前駆陣痛だったのかも…

「出産前日の夜遅く、重い生理痛のような違和感がありました。今振り返ると『あれが前駆陣痛だったのかな』と思うのですが、そのときは意識していなかったのでよくわからなかったです。痛みの間隔もバラバラだったので、一度産院に連絡を入れて様子を見ていました。その後、気づいたら痛みが3分置きに続くようになっていたので産院へ向かいました。産院に到着時には子宮口が8cm開いていて、2時間程で出産となりました」
(9歳の男の子のママ)

前駆陣痛から半日で本陣痛が始まった

「出産当日に、なんとなくおなかの痛みを感じました。痛みはそれほど強くなく、『ちょっと痛いな』という程度だったと思います。それまで特に兆候がなかったので、出産当日も外出していたのですが、『おなかが痛くなってきたな』と思って、慌てて帰宅して入院の支度をしているうちに本陣痛が来ました。前駆陣痛から本陣痛までは半日くらいでした」
(3歳の男の子のママ)

おしるしと同時に前駆陣痛

「出産前日の夜におしるしがあり、同時に下腹部が痛み出しました。夕食を食べたものの喉を通らず、明らかに様子がおかしかったので、前駆陣痛だと思いました。ただ、痛みが続く時間は数分間で、間隔も30分~1時間置きくらいだったので、『まだ本陣痛ではない』と思っていました。
その後、明け方まで前駆陣痛が続き、昼過ぎに本陣痛が始まりました。痛みの間隔が規則的になったので病院に連絡して向かったら、すでに子宮口が5cm開いていました」
(1歳8ヵ月の男の子のママ)

出産日1週間前から生理痛のような痛み

「出産日の1週間程前から前駆陣痛がありました。なぜかはわかりませんが、昼間は落ち着いているのに、夜になると痛みが現れました。生理痛のような痛みでした」
(0歳3ヵ月の女の子のママ)

「もしかしたら陣痛かも?」と思ったときにしたいことは?

臨月に入っておなかに張りや痛みを感じたら、まずは痛みの間隔を計ってみましょう。本陣痛の場合は、間隔が徐々に規則的になり、痛みも強くなっていきます。
このほか、「もしかしたら陣痛かもしれない」と思ったら、お産に向けて次のような準備をしておきましょう。

陣痛タクシーの確認

「陣痛タクシー」とは、事前に登録しておくことで、陣痛が起きたときにタクシーでスムーズに産院まで送ってもらえるサービスのことです。タクシー会社によって、「マタニティタクシー」や「ママサポートタクシー」などとも呼ばれています。
事前に陣痛タクシーに登録している場合は、いつでも産院に向かえるように、タクシー会社の連絡先を改めて確認しておきます。
陣痛タクシーを利用しない場合は、家族に車を出してもらうなど、産院への移動手段を確認してください。なお、どれだけ近くても、自分で車を運転するのは危険なので絶対にやめましょう。

入院セットの用意

入院時に必要なものは、あらかじめ産院から指示があります。いつでも持ち出せるように荷物をセットして、「陣痛かも?」と思ったら、足りないものがないかどうかの最終チェックをしましょう。入院後、後から家族に持ってきてほしいものがある場合は、わかりやすい場所にひとまとめにしておくと安心です。

夫などへの連絡

夫や両親など、連絡が必要な方に、陣痛が来たかもしれないということを伝えましょう。
臨月に入ったら、いつ陣痛が始まってもおかしくありません。夫が仕事中の場合の連絡先なども事前に確認しておき、いつでも連絡がとれるようにしておくと安心です。

入浴

破水していなければ、シャワーを浴びても問題ありません。痛みの合間など、可能であれば、お風呂に入れるうちに入っておくといいでしょう。
体を清潔にしてメイクを落とし、アクセサリーやコンタクトなども外しておきます。

水分補給や食事

出産は、非常に体力を消耗します。簡単に用意できる軽いものでもいいので、痛みが少ないうちに食事をとっておくことをおすすめします。また、お産に備えた水分補給も欠かさずに。
なお、入院中は自分で気軽に飲み物を購入するのが難しいこともあるので、入院セットの中にも忘れずにペットボトルなどの飲料を入れておきましょう。横になったまま飲めるストロー付きのキャップなどがあると便利です。

前駆陣痛が起こっても、慌てずに落ち着いて出産に備えよう

臨月に入っておなかの張りや痛みを感じると、「陣痛が来た!」と、つい気持ちが焦ってしまうかもしれません。でも、張りや痛みの間隔が不規則だったり、数時間で治まったりするようなら、前駆陣痛の可能性が高いです。前駆陣痛は、出産に向けて体が準備を始めている証拠。慌てずに落ち着いて、入院準備の最終チェックなどを行いましょう。

なお、先輩ママの体験談からもわかるように、前駆陣痛の感じ方や起こる時期は、人それぞれで異なります。前駆陣痛がなかったり、わからなかったりする場合もあります。気になる症状がある場合や、「前駆陣痛なのか本陣痛なのか判断できない」という場合は、我慢せずに産院に連絡をしてください。前駆陣痛が来たら、赤ちゃんに会えるまできっともう少しです。

監修

稲葉 可奈子 先生

産婦人科専門医・医学博士

京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。双子を含む4児の母。産婦人科での診療のかたわら、病気の予防や性教育、女性のヘルスケアなど、生きていく上で必要な知識や正確な医療情報とリテラシー、育児情報などを、SNS・メディア・企業研修などを通して効果的に発信することに努めている。

産婦人科専門医・医学博士

京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。双子を含む4児の母。産婦人科での診療のかたわら、病気の予防や性教育、女性のヘルスケアなど、生きていく上で必要な知識や正確な医療情報とリテラシー、育児情報などを、SNS・メディア・企業研修などを通して効果的に発信することに努めている。

スタッフに相談しながらベビーグッズを吟味できるハローベビーストアツアー