離乳食はいつから?初期の調理・食べさせ方のコツやメニューを紹介

新生児

  • 離乳食

2023/05/11

それまで母乳やミルクだけを飲んでいた赤ちゃんが、やがて大人と同じ食事を食べられるようになるために必要なのが「離乳食」です。離乳食は、大きく分けて初期・中期・後期・完了期という4つの段階に分かれ、成長や発達に合わせてステップアップしていきます。
ここでは、離乳食を始めるタイミングのほか、特に離乳初期についてご紹介します。初期にはどのような物を食べさせるのかをはじめ、食べさせ方のポイントや、よくある疑問への回答、具体的なメニューも紹介していますから、ぜひ参考にしてください。

目次

離乳初期は、生後5~6ヵ月頃からスタート!

離乳食は、初期・中期・後期・完了期の大きく4つの段階に分かれます。このうち離乳初期は、生後5~6ヵ月頃の、赤ちゃんが離乳食を初めて食べ始める時期を指します。初期の後は中期(生後7~8ヵ月頃)、後期(生後9~11ヵ月頃)、完了期(生後12~18ヵ月頃)と進み、幼児食に向けて徐々にステップアップしていきます。

離乳初期の赤ちゃんは、口を閉じて食べ物の取り込みや飲み込みができるようになってきている段階です。歯が生え始める赤ちゃんもいますが、まだ噛むことはできません。
この離乳初期に大切なのは、食べることに慣れること、そして飲み込むことを覚えること。ただ、赤ちゃんの成長や発達には個人差があるため、月齢を目安にしつつも、その子の様子に合わせて離乳食をスタートすれば大丈夫です。離乳食開始の発達状況の目安としては、次のようなサインが挙げられます。

<離乳食を開始する目安>
・首のすわりがしっかりして、寝返りができる
・5秒以上座れる
・スプーンなどを口に入れたとき、舌で押し出すことが減る
・食べ物に興味を示す

離乳食全体の進め方などについて詳しくは以下のページもご覧ください。
離乳食の進め方は?初期~完了期までの流れや注意したい食材とは

離乳食は、赤ちゃんが初めて口にする「食事」

離乳食は、母乳やミルク以外に赤ちゃんが初めて口にする「食事」です。前述したような発達のサインが表れたり、生後5~6ヵ月に達したりしたら、離乳初期の食事をスタートしてみましょう。
続いては、離乳初期に赤ちゃんにどのような食事を与えるかなどの詳細についてご紹介します。

初めて赤ちゃんに離乳食をあげるおすすめの日

離乳食を始める日は、食物アレルギーの症状などが出た場合に備えて、かかりつけの病院を受診できる平日の日中がおすすめです。前述した発達のサインがあることに加えて、赤ちゃんの体調や、機嫌のいいタイミングで始めましょう。

まずはおかゆを1さじから

離乳初期の食事の回数は、1日1回です。平日日中の授乳の時間を選び、母乳やミルクの前に食べさせるようにしてください。
最初は、すりつぶしたおかゆ(10倍がゆ)を赤ちゃん用のサイズのスプーン1さじから始めます。形状は、米粒が残らないくらい滑らかにすりつぶしたペースト状です。まずは1日1回1さじから。そして、2~3日ごとに1さじずつ、量を増やしていきましょう(離乳初期では、最終的には1食で10さじくらいが目安です)。

おかゆに慣れたら野菜をプラス

赤ちゃんがおかゆに慣れ、3~4さじ食べられるようになったら、同じようにすりつぶした野菜のペーストを加えます。野菜も1日1種類1さじから始め、少しずつ量を増やしていきましょう。

おかゆと野菜に慣れたらたんぱく質をプラス

赤ちゃんがおかゆと野菜に慣れてきたら、滑らかにすりつぶした豆腐や白身魚をメニューに加えます。たんぱく質も、1日1種類1さじからが基本です。初めてたんぱく質を与えたら、翌日はたんぱく質をお休みしてみると、体調の変化を確認しやすいかもしれません。

また、卵はしっかり加熱した卵黄なら離乳初期でも食べさせることができますが、食物アレルギーの原因になりやすい食べ物なので、慎重に進める必要があります。
白身魚や豆腐に慣れたら、まずはしっかり加熱した卵黄を耳かき1さじくらいの量から始めます。発疹や嘔吐、肌の赤み、苦しそうなど気になる症状がないかを観察し、大丈夫そうなら少しずつ量を増やしていきましょう。なお、卵の白身を与えるのは、離乳中期以降にしてください。

離乳初期では、赤ちゃんは基本的な栄養は母乳やミルクでとれる

離乳初期に食べる量は、おかゆと野菜、たんぱく質を合わせて、最終的には1食で10さじくらいが目安になりますが、この時期の赤ちゃんは、まだまだ必要な栄養は母乳やミルクで十分とることができます。
そのため、食べる量が少なくても、あまり心配をしたり、量を与えることに躍起になったりしなくても大丈夫。また、赤ちゃんに離乳食を与えた後は、母乳やミルクを欲しがるだけ与えても構いません(ミルクの場合は、パッケージなどに記載された月齢ごとの目安量を参考に与えます)。

離乳初期における食べさせ方のポイント

離乳初期の赤ちゃんは、まだ自分で食べることはできないので、ママやパパがスプーンで食べさせることになります。離乳食を与えるときには、次のようなポイントを意識するといいでしょう。

スプーンは赤ちゃんの下唇にのせる

赤ちゃんに離乳食を食べさせるときは、スプーンの先のほうで食べ物をすくい、赤ちゃんの下唇に軽くのせてください。そして、赤ちゃんの口が開いて上唇で食べ物を取り込むのを待ちます。もし、口を開けたまま閉じないときは、下顎を優しく押して閉じてあげましょう。

スプーンを引き抜くときは水平に優しく

赤ちゃんがスプーンを上唇で挟んで食べ物を口の中に取り込んだら、ゆっくりスプーンを引き抜きます。このとき、スプーンは水平に優しく引くのがポイント。もし、舌で食べ物を押し出しても慌てずに、スプーンですくって戻してあげてください。
その後、赤ちゃんが食べ物を飲み込むのを待ってから、同じように次の1さじを与えます(1回に1さじしか与えない段階であれば、そのまま食事を終了して大丈夫です)。

スプーンを赤ちゃんに押しつけたり、口の奥に入れたりしない

赤ちゃんの上唇や上顎にスプーンを押しつけたり、口の奥までスプーンを押し込んだりするのはやめましょう。離乳初期の赤ちゃんは、口の中に食べ物を取り込んで飲み込む練習をしています。スプーンを押しつけてしまうと、その練習を妨げることになってしまいます。

また、スプーンは口の中に入れるのではなく、下唇にのせて赤ちゃんが自分で食べ物を口に取り込むのを待つことが大切です。口の奥までスプーンを入れると、唇や舌を使う練習にならないばかりか、誤って喉を突いてしまう危険性もあります。

離乳初期は赤ちゃんにどんなメニューを用意する?

離乳初期の赤ちゃんは、口に入れた物をそのまま飲み込みます。食べた物が喉に詰まることのないように、食材はすべてペースト状にするのが基本です。おかゆは、米1に対して水10の割合で炊いた10倍がゆを、米粒が残らないくらいまで丁寧にすりつぶします。

また、野菜は、にんじんやかぼちゃ、かぶ、大根などをやわらかく茹で、滑らかにすりつぶすのが基本。さらに、お湯でゆるめてペースト状にしましょう。

そして、たんぱく質は、たいやかれい、ひらめなどの白身魚か、絹ごし豆腐を選びます。白身魚も野菜と同様に、茹でてから滑らかにすりつぶします。白身魚は加熱によってパサつきが出やすいため、水分を加えたりとろみをつけたりすると食べやすくなります。
豆腐はそのままではなく、茹でてすりつぶしてから食べさせてください。

野菜やたんぱく質は、おかゆと混ぜても、別々で食べさせてもどちらでも構いません。離乳食を進めていくうちに、赤ちゃんが好きな味や食べ方もわかるようになってくるはずです。
赤ちゃんによって、野菜などをおかゆと混ぜたほうが好きな子もいれば、そのままのほうがよく食べる子もいます。さまざまな食品の味を知るという意味では、まずはおかゆと別に食べさせてみて、あまり好きではないようならおかゆと混ぜてみるという進め方でもいいかもしれません。なお、離乳初期に味付けは不要です。

ママやパパが知っておきたい、離乳初期の心構え

特に、第1子を迎えたママやパパでは、不安な気持ちも感じながら、離乳食をスタートするかもしれません。離乳初期では、必要な栄養はミルクやおっぱいでとれますし、赤ちゃんのペースに合わせて進めていけば大丈夫です。ただし、次のようなことを知っておくと、離乳食に取り組みやすくなるはず。具体的なポイントを確認しておきましょう。

赤ちゃんに、素材の味や出汁の風味などから楽しんでもらおう

離乳初期では味付けの必要はなく、塩や醤油などの調味料も、この時期はまだ使いません。腎臓の働きが未発達な赤ちゃんは塩分を分解しにくいため、塩分を過度に摂取すると中毒を招いてしまうおそれもゼロではないからです。また、赤ちゃんは大人以上に味に敏感でもあります。
離乳初期に大切なのは、赤ちゃんが素材の味を感じ、それを楽しむこと。もし、味に変化をつけるなら、野菜出汁や、和風出汁(かつお出汁や昆布出汁)をうまく活用しましょう。素材そのものの味や出汁の風味を、しっかりと感じられるようにしてあげてください。

離乳食は、赤ちゃんのペースに合わせて始めれば大丈夫

赤ちゃんは機嫌や体調によって、よく食べるときもあればまったく食べないときもあります。ですから、食べ具合などに一喜一憂する必要はあまりありません。一般的にいわれている開始の月齢(生後5~6ヵ月が目処)や進め方、量などはあくまで目安として捉え、赤ちゃんの様子を見ながら無理のないペースで進めましょう。離乳食を始めてみて、赤ちゃんが上手に食べられなかったり嫌がったりするようだったら、一度中断しても構いません。

ママ・パパは、必死になりすぎず赤ちゃんとの食事の時間を笑顔で楽しんで

母乳やミルクだけを飲んでいた赤ちゃんにとって、離乳食を食べることは大きな変化です。思うように進まなくても「最初からうまくいかないのは当たり前」と考え、気にしすぎないようにしましょう。
離乳食は噛む練習や栄養を補完するといった役割もありますが、赤ちゃんに食事の楽しさを伝えるものでもあります。ママやパパがおいしそうに食事をする様子を見せたり、「おいしいね」などと声かけをしたりすることによって、赤ちゃんもだんだん「食事は楽しい」と思うようになっていくはずです。ぜひ、肩の力を抜いて、笑顔で離乳食を楽しんでみてください。

離乳初期に関するよくある疑問や不安

赤ちゃんが離乳食をスタートしたら、ママやパパも「こんなときどうすればいいのだろう?」と、悩む瞬間が出てくるかもしれません。ここからは、離乳初期によくある疑問や不安に対して解説していきます。

生後4ヵ月でも、離乳食開始の発達のサインがあったら始めてもいいの?

子供の発達や発育には個人差があり、離乳食スタートの月齢(生後5~6ヵ月)は、あくまで目安として考えれば大丈夫です。赤ちゃんの様子や発達状況をよく観察して、食べたがっているサインなどがあれば、生後4ヵ月でも、離乳食をスタートしてみても構いません。大切なのは、赤ちゃんの状態やペースに合わせることだと考えましょう。

離乳食のスプーンは、どんな物を買うといい?

離乳初期は大人が食べさせることになるため、一般的には持ち手が長いスプーンが適しているといわれています。また、唇にふれたときに赤ちゃんが抵抗感を覚えにくいと考えられる、滑らかなシリコン製のスプーンがおすすめ。唇にのせやすいように、先端が細く、スプーンの幅がだいたい赤ちゃんの口の半分くらいの浅めタイプを選ぶといいでしょう。
また、赤ちゃんが自分でスプーンを持ちたがったときのために、もうひとつ赤ちゃん用のスプーンを用意しておくと、より楽しく食事が進むはずです。

離乳初期に使う食器は消毒するべき?

離乳初期に使用する食器類は、消毒しなくても大丈夫です。大人の食器と同じように、食器用洗剤で洗った物を使用すれば問題ありません。
生後間もない2~3ヵ月頃の赤ちゃんは免疫力が低いので哺乳瓶なども消毒しますが、離乳食が始まる5~6ヵ月頃は自分で免疫を獲得していく時期なので、そこまで細かく気にしなくてもOKです。

赤ちゃんとほかの人が使う食器は、分けたほうがいい?

大人が普段使っている食器を離乳食にも使っていいか、悩む方も中にはいるかもしれません。赤ちゃんに使う食器類は、洗剤で洗ってあれば、赤ちゃん専用でなくても大丈夫です。
一方、「親と子供が同じ食器から食べる」のは避けたほうが無難です。同じ食器からいっしょに食べることで、口腔内の細菌が赤ちゃんにうつってしまう可能性があります。箸やカトラリー類に関しても、同様とお考えください。

赤ちゃんが離乳食を食べてくれなくて不安になる

赤ちゃんの気分や体調によって、離乳食の食べ具合は変わります。思うように食べてくれなくても、焦らず赤ちゃんのペースで進めれば大丈夫です。
離乳初期の場合、母乳やミルクだけに戻ったとしても、必要な栄養はこれらでまかなえますから、基本的には問題ありません。

離乳食をたくさん食べたら、ミルクや母乳の量は減らすべき?

離乳初期は、食事の後に母乳やミルクを赤ちゃんが欲しがるだけ与えても構いません。離乳初期の目的は、離乳食を飲み込むことや、食材の舌触りや味に慣れることなので、母乳やミルクは減らさなくて大丈夫です。ミルクの場合は、パッケージなどに記載された月齢ごとの目安量を参考にしてください。

新しい食品をあげて、赤ちゃんにアレルギーが起きないか心配…

食物アレルギーの発症を気にして離乳食や特定の食品の開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果はないといわれています。あまり気にしすぎず、生後5~6ヵ月を目安に離乳食を始めていきましょう。
ただし、初めての食材をあげるときには、1日1種類を少量ずつ試すようにしてください。また、病院を受診できる曜日や時間帯に始めることも大切です。そして、離乳食をあげたら発疹や嘔吐などがないか赤ちゃんの様子をよく観察し、もし気になる症状があったら病院を受診します。

料理が苦手だけど、赤ちゃんにあげるのは市販のベビーフードでもOK?

離乳食を作る負担が少しでも軽減するなら、ベビーフードなどの加工品を上手に活用するのもひとつの方法です。
また、ベビーフード以外にも、最近では離乳初期に使える便利な冷凍食品などがたくさん登場しています。離乳食を一から手作りするのが大変なときは、そのようなものもうまく利用するといいでしょう。

作り置きは赤ちゃんにあげてもいい?

離乳食は、まとめて作ってストックしておいても構いません。ただし、菌の繁殖を防ぐために、冷蔵庫ではなく冷凍庫でストックしましょう。
また、食べさせるときには、電子レンジやコンロで必ず再加熱を。なお、一度解凍した物を再冷凍したり、食べ残しをとっておいたりすることは避けるべきです。

離乳初期は、赤ちゃんのペースでスタート&食事の時間を楽しんで

離乳初期は、赤ちゃんが食べ物を飲み込む練習をする時期です。始めはペースト状の10倍がゆを1さじからスタートして、野菜、たんぱく質といった順番で、徐々に種類や量を増やしていきましょう。

食事を与える中で、赤ちゃんの気分などによってはあまり食べてくれない日もあるかもしれませんが、離乳初期に必要な栄養の多くは、母乳やミルクからとることができます。また、赤ちゃんの発育や発達、食べ具合には個人差もありますから、あまり「正解」にこだわりすぎなくても大丈夫です。ぜひ親子で、初めての食事を赤ちゃんが味わう瞬間を楽しんでくださいね。

監修

管理栄養士 木村 美登里

株式会社ニチイ学館
保育事業本部 管理部
サービス管理・研修課 スペシャリスト

ニチイ学館は保育・医療関連・介護を中心に事業を展開し、保育事業では「おもいっきり遊ぶ。おもいっきり学ぶ。」をテーマに全国で保育園「ニチイキッズ」を運営。「みんなで一緒に食べる楽しさ」をモットーに、2016年より三大アレルギー原因食材である「乳・卵・小麦」を使わない献立「おもいっきり給食」を導入。木村氏は、2017年より給食の基礎献立の開発に携わり、2019年からは「おもいっきり給食」の献立作成や栄養士指導に従事している。

株式会社ニチイ学館
保育事業本部 管理部
サービス管理・研修課 スペシャリスト

ニチイ学館は保育・医療関連・介護を中心に事業を展開し、保育事業では「おもいっきり遊ぶ。おもいっきり学ぶ。」をテーマに全国で保育園「ニチイキッズ」を運営。「みんなで一緒に食べる楽しさ」をモットーに、2016年より三大アレルギー原因食材である「乳・卵・小麦」を使わない献立「おもいっきり給食」を導入。木村氏は、2017年より給食の基礎献立の開発に携わり、2019年からは「おもいっきり給食」の献立作成や栄養士指導に従事している。

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