離乳食の進め方は?初期~完了期までの流れや注意したい食材を解説

新生児

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2023/05/11

離乳食は、母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんが、ゆくゆくは大人と同じ食事ができるようになるための第一歩です。ただ、「そろそろ離乳食をあげたほうがいいかな?」と思っても、「いつからスタートすればいいのだろう」「どうやってステップアップしていけばいいの?」と、戸惑う方も多いかもしれません。また、食材によっては、離乳食での使用を控えたほうがいい物もあるため注意が必要です。 ここでは、離乳食のスタート時期や、初期から完了期までの進め方のほか、離乳食で注意した食品などについて解説します。

離乳食のスタート時期や目安は?

離乳食は、いつ頃から始めればいいのでしょうか。まずは、一般的な離乳食のスタート時期や、離乳食をスタートする目安について知っておきましょう。

離乳食の初期は、一般的に5~6ヵ月頃から始まる

離乳食をスタートする時期は、一般的に生後5~6ヵ月頃です。この時期になると赤ちゃんは、食べ物を口に入れたり、飲み込んだりできるようになってきます。ただ、それまで母乳やミルクを飲んでいた赤ちゃんは、「食べ物を噛んで飲み込む」という口の機能は未発達です。そのため、離乳食で徐々に食べることに慣れていく必要があります。
また、離乳食を開始するタイミングには、個人差があります。「5ヵ月になったから必ず離乳食をあげなくては」というわけではなく、後述するような発達の目安やサインも参考に、赤ちゃんの様子を見ながら始めていくといいでしょう。

離乳食で、母乳やミルクだけでは不足しがちなエネルギーや栄養素を補完する

生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳や育児用ミルクといった乳汁を飲んで育ちます。しかし、赤ちゃんが成長するにつれて、母乳やミルクを飲むだけではエネルギーや栄養素が不足するようになってきます。離乳食の役割は、そのような成長とともに不足しがちになっていくエネルギーや栄養素を補完すること。
また、赤ちゃんの摂食機能も、離乳食から幼児食に向けてステップアップしていく段階で、母乳やミルクを吸うことから、食べ物を噛みつぶして飲み込むことへと発達していきます。

とはいえ、離乳食を始める5~6ヵ月頃は、まず赤ちゃんが「食べる」ということに慣れるのが先決です。この時期の赤ちゃんに必要な栄養は母乳やミルクを中心に補えるので、離乳食はあせらず赤ちゃんのペースでスタートするようにしましょう。

離乳食を始める発達の目安

離乳食を始めるかどうかの参考として、赤ちゃんの発達の目安があります。下記のようなサインが見られたら、離乳食をスタートする準備をしていきましょう。

・首のすわりがしっかりして寝返りができる
「首がすわる」とは、大人が赤ちゃんの頭を支えなくても首がグラグラしなくなり、安定して頭を動かせるようになる状態のことです。首がしっかりすわっていないと、食べ物を飲み込んだときに気管などに入ってしまうおそれもあります。

・5秒以上座れる

首すわりと同様に、赤ちゃん自身が安定した姿勢がとれるようになっていることも、離乳食をスタートする上でのポイントのひとつです。
目安としては、5秒以上お座りができること。離乳食をあげるときには、大人が支えるか、ベビーチェアなど、背もたれのある椅子に座らせてあげましょう。

・スプーンなどを口に入れたときに、舌で押し出すことが減る
赤ちゃんには、「固形物が口に入ると舌で押し返す」という哺乳反射が生まれつき備わっています。これは、母乳やミルクを飲むための不随意運動(本人の意思とは無関係な動き)で、生後5ヵ月頃から徐々に消えていきます。この哺乳反射が残っていると、口の中に入った物を押し出してしまい、離乳食をうまく食べられない可能性があります。スプーンを口に入れても舌で押し出すことが少なくなったら、離乳食がスタートできるサインといえるでしょう。

・食べ物に興味を示す
「親が食事をする様子に興味を持つ」「食べ物を見てよだれが出る」といった赤ちゃんの様子は、離乳食スタートのサインです。赤ちゃんの様子から「食べたがっているサイン」が見られたら、離乳食をスタートしてみるのがおすすめです。

なお、赤ちゃんの成長や発達には個人差があり、月齢はあくまで目安です。離乳食を始めてみて、赤ちゃんが上手に食べられなかったり嫌がったりするようだったら、中断しても構いません。その場合は、しばらくあいだを空けてからもう一度試してみましょう。

離乳食の4つのステップとは?

離乳食は、「初期(生後5~6ヵ月頃)」「中期(生後7~8ヵ月頃)」「後期(生後9~11ヵ月頃)」「完了期(生後12~18ヵ月頃)」の大きく4つの段階に分かれます。形状や固さなどを徐々に変えていくことで、「赤ちゃんの噛む力を育てる」「消化機能の発達に合わせてステップアップしていく」という意味合いがあります。それぞれのステップの進め方について見ていきましょう。

1. 離乳初期(生後5~6ヵ月頃)

生後5~6ヵ月頃の赤ちゃんに前述したような発達のサインが見られたら、離乳食を開始します。

最初は、すりつぶしたおかゆ(10倍がゆ)をスプーン1さじから始めます。形状は、米粒が残らないくらい滑らかにすりつぶしたペースト状です。まずは1日1回1さじから。そして、2~3日に1さじのペースで増やしていきましょう。

食べるタイミングは、1日1回、授乳の前です。おかゆに慣れ、3~4さじくらい食べられるようになったら、同じようにすりつぶした野菜のペーストを加えてみます。そして、おかゆと野菜に慣れたら、豆腐や白身魚といったたんぱく質を加えていきます。

新しい食材を加える際には、1日1種類1さじから、徐々に増やすようにしてください。最終的には1食で10さじくらいを目安にしますが、離乳初期では食べる量が少なくても、無理はしないようにすることが大切です。この時期は、離乳食を飲み込むことや、食材の舌触りや味に慣れることが大切です。離乳食を食べさせた後は、母乳を欲しがるだけ与えて構いません(ミルクの場合は、パッケージなどに記載された月齢ごとの目安量を参考に与えます)。

2. 離乳中期(生後7~8ヵ月頃)

生後7~8ヵ月頃になると、赤ちゃんは歯が生え始め、舌と上顎で豆腐の固さ程度の物をつぶせるようになります。中期になったら離乳食の回数を1日2回に増やし、徐々に食事のリズムをつけていきましょう。

食材の固さは、舌でつぶせるくらいが目安です。おかゆは7~5倍がゆ、野菜はゆでた後に粗くつぶすか細かくみじん切りに、白身魚はゆでてから細かくほぐします。赤ちゃんの様子を見て、飲み込みやすいようにとろみをつけるのもおすすめです。

食べさせる量の目安は、1回あたり、おかゆ50~80g、野菜20~30g、たんぱく質は魚や肉なら10~15g、豆腐なら30~40g程度。例えば、魚と豆腐をあげるような場合は、それぞれの量の半分程度ずつを目安にしてください。1回目も2回目も同じくらいの量を与え、いろいろな食材の味や舌触りを楽しめるように、少しずつ食品の種類を増やしていきます。ただし、新しい食材をプラスするときには、初期と同様に1日1種類から始めるようにします。

離乳中期でも、離乳食後の母乳は好きなだけ、ミルクは1日3回程度飲ませれば大丈夫です。

3. 離乳後期(生後9~11ヵ月頃)

後期になると、離乳食の回数は1日3回にステップアップします。この時期になると、赤ちゃんは歯茎でつぶせる固さの物が食べられるようになります。また、自分で食べたがったり、スプーンに興味を持ってさわろうとしたりして、なかなか食事が進められないこともあるかもしれません。そのような場合は、食べさせている物をさわらせてあげたり、食べさせるスプーンとは別に赤ちゃん用のスプーンを用意したりすることで、興味を満たしつつ、別のスプーンで口に運んであげましょう。

離乳後期は、歯茎でつぶせるくらいの固さが調理の目安になります。食べ頃のバナナくらいとイメージすると、わかりやすいかもしれません。おかゆは5倍がゆ、野菜なら5~8mm角、魚は5~8mm程度と、大きさも徐々にステップアップしていきます。

おかゆも、様子を見ながら軟飯(米1:水2~3で炊いたやわらかめのご飯)に移行していきます。食べさせる量の目安は、1回あたり、全がゆ90g~軟飯80g、野菜などのビタミン・ミネラル類は30~40g、たんぱく質は魚または肉なら15g、豆腐なら45g程度です。
離乳食後の母乳は好きなだけ、ミルクは1日2回程度飲ませます。

4. 離乳完了期(生後12~18ヵ月頃)

離乳完了期は、その名のとおり、離乳食が完了して幼児食に移行していく時期です。1日3回の食事リズムを大切に、生活リズムを整えていく心掛けが大切です。完了期になると歯を使うようになり、かじったり噛んだりすることが上手になります。手づかみ食べをしたり、自分でスプーンやフォークを使ったりすることも増えていくかもしれません。

食材の固さの目安は、歯茎で噛めるくらい。肉だんごくらいの固さで、手づかみできるサイズの食べ物も取り入れていくのがおすすめです。炭水化物は軟飯、野菜は1cm角、魚なら一口大を目安にしてください。食べさせる量は、1回あたり、軟飯90g~ご飯80g、野菜などのビタミン・ミネラル類は40~50g、たんぱく質は魚または肉なら15~20g、豆腐なら50~55g程度です。

離乳食後の母乳やミルクは、離乳の進み具合に応じて与えます。また、完了期になったら、1日3回の離乳食に加えて、いも類や果物、乳製品、乳幼児用ビスケットなどのおやつをあげてもいいでしょう。おやつは1日1~2回、できるだけ時間や量を決めてあげるのがおすすめです。

離乳食で控えるべき食品や、注意したい食品を知っておこう

食品の中には、大人は問題なく食べられる物でも、消化機能などが未熟な赤ちゃんには食べさせるのを避けたほうがいい物があります。離乳食を進めるときには、特に次の食品に注意しましょう。

満1歳までは蜂蜜、黒砂糖はNG

蜂蜜や黒砂糖には、ボツリヌス菌(海、川、湖や土壌に広く存在する菌)が含まれている可能性があります。赤ちゃんは腸内環境が大人とは異なるため、蜂蜜などの摂取によって乳児ボツリヌス症になるおそれがあるのです。

症状としては、感染すると便秘や哺乳力の低下といった症状を引き起こすことがあります。さらに、最悪の場合は命に関わることも。熱に強いボツリヌス菌は、通常の加熱や調理では死滅しません。蜂蜜や黒砂糖は、満1歳までは与えないようにしましょう。

離乳食を作るときに蜂蜜や黒砂糖を使わないのはもちろん、おやつをあげるときにも、蜂蜜入りの飲み物やお菓子などを与えないように注意してください。

生ものも基本的に控えるべき

離乳食では、基本的に生ものは避けるほうが無難です。食材はしっかり加熱してから食べさせるようにしてください。野菜や果物も、完了期までは火を通したほうが安心です。
また、日本では、刺身や寿司など生魚が食卓に上る機会も多いですが、生魚は離乳食のあいだは基本的にNGと考えましょう。消化の良くない生魚を与えるのは、離乳食を完全に卒業してからにすることが望ましいです。

そして、細菌感染による食中毒のリスクを防ぐため、出来立てや解凍したばかりの物など、あくまで新鮮な物を与えるよう意識してください。
なお、加熱した白身魚であれば、離乳初期から食べさせることができます。「鮮度のいい物を十分加熱する」ということを意識することがポイントです。

卵は慎重に与えていくことが大切

卵は、食物アレルギーの原因になりやすい食べ物のひとつ。しっかり加熱した卵黄は離乳初期から与えることができますが、赤ちゃんの様子を見ながら慎重に進めていくことがポイントです。

離乳食をスタートして、おかゆや野菜、白身魚、豆腐などに慣れたら、まずは加熱した卵黄を耳かき1さじくらいの量から始めます。発疹や嘔吐、肌の赤み、苦しそうなど、気になる症状がないかを観察し、大丈夫そうなら少しずつ量を増やしていきます。

離乳中期になったら卵黄に加えて、加熱した卵白を少量から試してみてください。さらに、離乳後期では、全卵を2分の1個、完了期に全卵2分の1~3分の1個くらいを目安に進めていきます。 こうした過程の中で、もし何か気になる症状があった場合は、直ちに食べさせるのをやめ、医療機関に相談することが大切です。何かあったときにすぐ対応できるように、しばらくのあいだはかかりつけの病院を受診できる平日の日中に食べさせるのがいいでしょう。

離乳食は無理なく楽しみながら進めていこう

母乳やミルクだけを飲んでいた赤ちゃんにとって、離乳食を食べるのは大きな変化です。赤ちゃんにとっても初めてのことですから、最初からうまくいかなかったとしても、気に病む必要はありません。
スタート時期や進め方の目安はありますが、あまり気にしすぎず、赤ちゃんのペースに合わせて進めていけば大丈夫。初めのうちは離乳食を嫌がっても、ママやパパがおいしそうに食事をする様子を見るうちに、食事に興味を示すこともあります。蜂蜜などの控えたい食材等には注意しつつ、無理せず、あせらず、楽しみながら離乳食を進めていってください。

監修

管理栄養士 木村 美登里

株式会社ニチイ学館
保育事業本部 管理部
サービス管理・研修課 スペシャリスト

ニチイ学館は保育・医療関連・介護を中心に事業を展開し、保育事業では「おもいっきり遊ぶ。おもいっきり学ぶ。」をテーマに全国で保育園「ニチイキッズ」を運営。「みんなで一緒に食べる楽しさ」をモットーに、2016年より三大アレルギー原因食材である「乳・卵・小麦」を使わない献立「おもいっきり給食」を導入。木村氏は、2017年より給食の基礎献立の開発に携わり、2019年からは「おもいっきり給食」の献立作成や栄養士指導に従事している。

株式会社ニチイ学館
保育事業本部 管理部
サービス管理・研修課 スペシャリスト

ニチイ学館は保育・医療関連・介護を中心に事業を展開し、保育事業では「おもいっきり遊ぶ。おもいっきり学ぶ。」をテーマに全国で保育園「ニチイキッズ」を運営。「みんなで一緒に食べる楽しさ」をモットーに、2016年より三大アレルギー原因食材である「乳・卵・小麦」を使わない献立「おもいっきり給食」を導入。木村氏は、2017年より給食の基礎献立の開発に携わり、2019年からは「おもいっきり給食」の献立作成や栄養士指導に従事している。

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