妊娠線はどう予防する?できやすい方やケアのポイントを解説

妊娠・出産の基礎知識

  • 妊娠線

2023/05/11

妊娠してだんだんおなかが大きくなってくると、「妊娠線が気になる」「妊娠線を作りたくない」と考える方も多いかもしれません。
妊娠線とは、妊娠中の急激な体型変化で皮膚が引っ張られ、おなかなどに筋状の線ができる状態のことです。妊娠線は一度できると消すことが難しいため、できる前の予防が重要になります。では、妊娠線をできにくくするためには、どのような予防ケアを行えばいいのでしょうか。また、妊娠線ができやすい方や、できにくい方の特徴はあるのでしょうか。

ここでは、妊娠線ができる原因や一般的に妊娠線ができ始める時期のほか、妊娠線ができやすい方の特徴などについてご紹介します。併せて、妊娠線のケアを始めるのにおすすめのタイミングや、予防ケアのポイントなどについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

妊娠による体型変化で起こる妊娠線

妊娠線とは、妊娠中の急激な体型変化で起こる「肉割れ線」のことです。おなかに赤みがかった線があざのように現れ、だんだんと赤黒く変化していきます。
産後は白っぽくなって目立ちにくくなる傾向がありますが、完全に消えることはないといわれています。また、バストやお尻など、おなか以外の場所に線ができることも。

妊娠線ができるのは、妊娠中の急な体重増加によって、おなかの皮膚が引っ張られるからです。皮膚は外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」という3層構造になっています。妊娠でおなかが大きくなったとき、表皮は伸びやすい一方で、真皮はその伸びについていけずに裂けてしまい、妊娠線ができることがあるのです。

妊娠線ができてもおなかの赤ちゃんには影響がなく、痛みや出血などもありませんが、「妊娠線を作りたくない」という場合は、できる前の予防が大切になります。

妊娠線と正中線の違い

妊娠線と間違われやすいものに、「正中線(せいちゅうせん)」があります。正中線とは、おへそを中心にして、おなかの真ん中に縦に伸びるラインのことです。妊娠中は、メラニンの増加などにより、おへその上下に黒っぽい正中線が現れることが少なくありません。 妊娠中は目立って気になるかもしれませんが、正中線は一時的なものであり、出産を終えれば徐々に消えていくことがほとんどです。

妊娠線ができやすい方の特徴とは?

妊娠線のできやすさには個人差があります。特に、次のようなタイプの方は妊娠線ができやすいといわれているため、早めの予防ケアを心掛けましょう。

妊娠中に体重が急増した方

妊娠中の急激な体重増加は、妊娠線ができる要因のひとつです。急激な体重増加、つまりおなかが急に大きくなることで、皮膚が一気に引っ張られるからです。それまで妊娠線ができていないからと油断していて、妊娠後期になって急に体重が増えておなかが大きくなり、突然妊娠線が現れるケースもあります。

乾燥肌の方

乾燥肌タイプの方は、妊娠線ができやすいといわれています。乾燥した肌は柔軟性が低下するため、おなかが大きくなって皮膚が引っ張られると、その伸びに真皮がついていけずに裂けてしまうことがあるのです。元々、肌がかさつきやすい方をはじめ、乾燥肌ではなくても、冬場など空気が乾燥する季節には注意が必要です。

皮膚の伸びなどの肌質も影響する

妊娠線のできやすさ、できにくさは、元々の肌のタイプも影響します。例えば、「自分は肌が強いから大丈夫だろう」と思っていても、皮膚が固くて伸縮性が悪く、妊娠線ができやすい場合もあります。
一方、皮膚の伸びが良いタイプであれば、多少の体重増加でも妊娠線ができにくい可能性もあります。敏感肌や乾燥肌といった肌タイプとは異なり、このような皮膚の厚さややわらかさなどは、見たりふれたりしただけではわかりません。「自分は乾燥肌ではないから妊娠線はできにくいはず」などと過信せず、しっかり予防ケアを行うことが大切です。

妊娠線ができ始める時期は?

妊娠線ができる時期には個人差がありますが、一般的には妊娠後期以降にできることが多いといわれています。ただし、妊娠中期から妊娠線が出始めることもあるため、早めの予防ケアが望ましいでしょう。

妊娠線の予防のタイミングとケアのポイント

前述したように、妊娠線は一度できると完全に消すことは難しいため、予防が非常に大切です。では、妊娠線を予防するには、いつからどのようなケアを行えばいいのでしょうか。ここからは、妊娠線の予防ケアを始めるタイミングと、ケアのポイントについて解説していきます。

妊娠初期や中期から早めにスタート!

一般的には妊娠後期以降にできることが多いといわれる妊娠線ですが、人によっては妊娠中期から現れることもあります。そのため、妊娠線予防は早めのスタートがおすすめです。妊娠初期や妊娠中期から、予防ケアを習慣付けておくといいでしょう。
残念ながら、いくら気をつけていても妊娠線ができてしまうことはありますが、何もケアしないよりは妊娠線ができるリスクを抑えることができます。ただし、妊娠初期はつわりなどで体調が悪いことも多いので、無理のない範囲で行ってください。

オイルやクリームで保湿ケアをする

妊娠線予防の基本は、肌の保湿です。ボディクリームやオイル、ローションなどを使って、おなか周りを中心にしっかり保湿をします。妊娠線予防専用のアイテムではなくても、ボディに使える保湿剤なら何でも構いません。お風呂上がりのタイミングなどに、おなか全体に保湿剤を塗り、肌の潤いを保つように心掛けてください。

なお、妊娠中はにおいに敏感になることがあるため、保湿剤を購入するときには、サンプルなどでにおいを確認するのがおすすめ。また、肌に塗ったときに刺激を感じるようなときは、使用を避けます。保湿剤の形状は、クリーム、オイル、ローション、バームなど、タイプによって特徴が異なるので、自分にとって使いやすい物を選びましょう。

・クリーム
クリームはリッチなテクスチャで、ローションなどに比べて重めの使用感であることが特徴です。
ただ、商品によって油分の含有量が異なるため、伸びが良くみずみずしいテクスチャからコクのある物まで、さまざまなタイプがあります。湿度が低く乾燥しやすい秋冬の季節や、肌のかさつきが気になる方にもおすすめです。

・オイル
オイルは伸びが良いため、おなかなど広い面積にも広げやすいのが特徴です。成分構成のほぼすべてが油分で、つけ心地も非常に滑らかです。塗った直後はべたつきを感じる物もありますが、肌になじませればあまり気にならなくなることが多いでしょう。
なお、衣服などにつくとシミになってしまうことがあるので注意してください。

・ローション
ローションは、クリームやオイルに比べて水溶性成分が多く含まれており、みずみずしくサッパリとした使用感が特徴です。軽いつけ心地なので、気温が高くなる夏場にもおすすめのアイテムです。

・バーム
バームは、4つのご紹介した形状の中でも、最も保湿力の高いタイプだといえるでしょう。手に取った瞬間は固いテクスチャですが、手のひらの温度で溶けて、肌に伸ばすことができます。冬場の乾燥が気になる時期にぴったりで、特に乾燥が気になる部分に、ローションに重ねづけして使用することもできます。

体重の急激な増加に注意

妊娠中の適切な体重増加や管理については、場合によっては病院からも指導があるかもしれません。
繰り返しにはなりますが、急な体重増加は妊娠線にもつながることがあるため、注意が必要です。保湿ケアを心掛けつつ、あまり急激に体重が増加しないように気をつけましょう。

妊娠線ができてしまったら、消すことはできるの?

一度できた妊娠線は、自然に消えることはありません。ただ、妊娠線ができてしまっても、出産後は徐々に白っぽくなって、目立ちにくくなることが多いです。もしどうしても消したい場合は、産後落ち着いてから、皮膚科や形成外科を受診して相談してみましょう。場合によっては、レーザー治療などが可能なこともあります。
また、妊娠中に妊娠線ができていることに気づいたときは、念入りな保湿ケアを行うことで、妊娠線がそれ以上できるのを防げる可能性もあります。同時に、体重増加もこまめにチェックし、「急激に体重が増えているな」と思ったら少しコントロールするように意識してみてください。

妊娠線はできる前の予防が大切!

妊娠線は一度できると完全に消すことは難しいため、できる前に予防することが肝心です。妊娠線は肌が乾燥していたり急激な体重増加があったりするとできやすいとされ、さらに元々の肌のタイプによっても、妊娠線のできやすさは変わります。

妊娠線を予防するには、妊娠初期や妊娠中期から、日々の保湿を怠らないことが大切。クリームやオイル、ローション、バームなど、好みのアイテムを使っておなか全体をしっかり保湿するようにしてください。特に、妊娠後期になっておなかが大きくなると、下腹部などが見えづらくなることがあるため、保湿剤の塗り残しがないよう気を配ることも忘れずに。

妊娠線はおなかの赤ちゃんの成長には関係ないものの、気にする方が多いのも事実です。もちろん、気にしなくてもいいものではありますが、「もしできればできてほしくないな」と思う方は、妊娠線を作らないための対策方法を知って、できるだけ早い段階から予防ケアを行っていきましょう。

監修

稲葉 可奈子 先生

産婦人科専門医・医学博士

京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。双子を含む4児の母。産婦人科での診療のかたわら、病気の予防や性教育、女性のヘルスケアなど、生きていく上で必要な知識や正確な医療情報とリテラシー、育児情報などを、SNS・メディア・企業研修などを通して効果的に発信することに努めている。

産婦人科専門医・医学博士

京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。双子を含む4児の母。産婦人科での診療のかたわら、病気の予防や性教育、女性のヘルスケアなど、生きていく上で必要な知識や正確な医療情報とリテラシー、育児情報などを、SNS・メディア・企業研修などを通して効果的に発信することに努めている。

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