育児グッズ
2023/09/11
赤ちゃんが生まれてからは初めてのことの連続。特に「授乳」に関しては、実際に乳児のお世話をする状況にならないと体験できず、わからないことも多いですよね。その中でもお悩みが多いのが「哺乳瓶の消毒」についてです。
産後の調乳指導で、哺乳瓶は消毒が必要ということを初めて知った新米ママ・パパも少なくありません。
そこで今回は、哺乳瓶の消毒について、時期・方法・手順を詳しく解説していきます。
目次
はじめに、なぜ哺乳瓶には消毒が必要なのでしょうか?食器用洗剤で洗えばきれいになり、使用できると思ってしまいますが、赤ちゃんの場合はそうはいきません。
生後間もない赤ちゃんの体はまだまだ未熟で、感染症などにかかるリスクが高い状態です。免疫のある大人では平気な菌であっても、赤ちゃんの体に入ると重い感染症を引き起こす可能性があります。そのため、赤ちゃんが毎日口にする哺乳瓶は、しっかりと消毒してあげることが必要です。
また、母乳と同じようにミルクには、たっぷりの栄養が含まれています。
実はこの栄養がばい菌の大好物なのです。しっかりと哺乳瓶を洗浄・消毒しておかないと、残った栄養にばい菌が繁殖してしまいます。その哺乳瓶を使って赤ちゃんにミルクを飲ませると、感染症にかかってしまう恐れがあるのです。
このような理由から、赤ちゃんが使う哺乳瓶は使用のたびにしっかりと消毒することが必要です。
実際に哺乳瓶を消毒する頻度ですが、哺乳瓶を使用したら毎回消毒が必要です。ママ・パパは赤ちゃんのお世話が毎日大変だと思いますが、免疫力の低い赤ちゃんがばい菌に感染しないように、使用のたびに消毒するようにします。
哺乳瓶の消毒は、生後半年ぐらいまで必要です。では、消毒をやめてもいいタイミングとはどのようなときなのでしょうか。ここからは消毒をやめる目安についてお伝えしますが、赤ちゃんが下痢や嘔吐をしていないか、発熱はしていないかなどの体調や様子を見ながら行うようにしてください。
・離乳食が始まったら
哺乳瓶の消毒をやめる目安のひとつが、離乳食を始めるタイミングです。離乳食が始まる生後5〜6か月のころには、免疫力が高まり、食器類や調理器具など消毒せずに使うものが増えてきます。哺乳瓶だけ消毒していてもあまり意味がなくなるため、哺乳瓶の消毒をやめてもいいタイミングと言えます。
・赤ちゃんのよだれが増えてきたら
赤ちゃんのよだれには殺菌・洗浄効果があります。赤ちゃんは生後5か月前後で歯が生え始め、それとともによだれも出始めることが多いです。よだれによって口の中をキレイに洗い流したり、ある程度のばい菌をやっつけたりすることができるようになるため、このタイミングで哺乳瓶の消毒をやめることもできます。
・指しゃぶりやおもちゃを舐め始めたら
赤ちゃんが自分の手を認識して上手く使えるようになってくると、指しゃぶりを始めたり、おもちゃを手に持って舐めたりし始めます。こうなると手に付着した菌で免疫が付いていくため、消毒はやめてもいいと言えます。
哺乳瓶の消毒をやめたとしても、洗浄はしっかり行ってください。
先にもご紹介した通り、赤ちゃんが飲むミルクには沢山の栄養が含まれているため、放置しておくとばい菌が繁殖してしまいます。特に乳首パーツは細かい溝があったり、先端に小さな穴が空いていたりして、菌が残りやすいです。
ミルクを飲み終わった哺乳瓶はすぐに食器用洗剤でしっかりと洗い、乾燥させましょう。また汚れが気になる場合にはこれまでと同様に消毒をしてみてください。
消毒と聞くと「何か強い薬剤を使うのかな?」と思われるかもしれませんが、赤ちゃんが使う哺乳瓶に使用できる薬剤もあります。また消毒の方法はいくつかあるので、ご自身の育児スタイルや家庭環境に合わせて、無理なく続けられる方法を選んでください。
沸騰したお湯に入れて消毒する方法が「煮沸消毒」です。ご家庭にあるものですぐ対応できます。
哺乳瓶は食器用洗剤で洗浄し、瓶と乳首などのパーツを全て分解しておきます。パーツ全体がしっかりと浸かるぐらいの大きい鍋にお湯を沸かし、沸騰したらパーツを入れてそのまま5分程煮続けます。
あまりコストをかけずにできる方法なので、消毒方法に悩んでいる方にはおすすめです。
※哺乳瓶の説明に「煮沸消毒可能」などと書かれているものが対象です。
「電子レンジ消毒」は少量の水と専用のケースを使用し、電子レンジを使って煮沸消毒する方法です。各ベビー用品メーカーから、電子レンジ用の消毒ケースが販売されています。
しっかりと食器用洗剤で洗浄した哺乳瓶をパーツごとに分解し、専用ケースに入れて少量の水と一緒に5分程電子レンジで加熱します。ケースは何度でも繰り返し使えて、そのケースで哺乳瓶の保管もできるので便利です。
※哺乳瓶の説明に「電子レンジ消毒可能」などと書かれているものが対象です。専用ケースは各ベビー用品メーカーの使用方法に従って行ってください。
専用の薬液に一定時間浸して消毒する方法が薬液消毒です。
使い終わった哺乳瓶をパーツごとに分解し、食器用洗剤で洗浄した後、薬液の入った専用ケースにパーツが全て浸かるように入れ、指定の時間浸します。薬液を入れる専用のケースと薬剤の交換が毎日必要になるので、少しコストがかかりますが、忙しいママ・パパにはおすすめの方法です。(専用の薬剤は1日以内であれば繰り返し使用できるものが多いですが、各製品の説明書や注意書きをよく確認してください。)
薬液のにおいが気になる場合は、消毒効果も変わらないので、水道水ですすいでから使用することもできます。煮沸消毒や電子レンジ消毒のように熱くならないので消毒後もすぐに素手で扱える点も便利です。
※哺乳瓶の説明に「薬液消毒可能」などと書かれているものが対象です。
ご自身に合った消毒方法が見つかったら、実際に哺乳瓶を使ったあとの洗浄・消毒の手順も見て行きましょう。
せっかく哺乳瓶の消毒ができても、ママ・パパの手が消毒できていないと意味がありません。哺乳瓶を洗う場合に限らず、赤ちゃんのお世話をする際には薬用ハンドソープやアルコール消毒液などで、こまめな手洗い・消毒を心掛けるようにしてください。
煮沸したり薬液に浸けたりと聞くと、そこで洗浄も一緒に行われると思いがちですが、消毒と洗浄は別工程です。飲み残しがある哺乳瓶を直接スポンジでこすると汚れを広げてしまいますので、ばい菌の繁殖を防ぐためにもミルクをしっかりすすいでから洗浄することが大切です。
すすぎ洗いが終わったら、食器用洗剤とボトル用・乳首用のスポンジでこすり洗いをしていきます。食器用洗剤はできれば赤ちゃん用の商品を使用したほうが安心です。
ボトル用スポンジや乳首用スポンジも、哺乳瓶や乳首パーツが洗いやすい形状になっているため、使用することで効率良くきれいに洗浄できます。機能的な商品が沢山売られていますので、ご自身が使いやすいものを選んでみてください。
手洗いでしっかり洗浄ができたら消毒です。
それぞれの消毒方法に合わせて準備をしておき、洗い終わったものはできるだけすぐ消毒してください。洗浄後そのまま置いておくと、手洗いでは落ちなかったばい菌が増殖してしまう可能性があるので、洗ったその手で消毒するようにします。
煮沸消毒や電子レンジ消毒は、消毒後にパーツが高熱になるので、トングを使って哺乳瓶を回収したり、ミトンをはめてレンジ消毒用ケースを持ったりするなど、火傷をしないように注意しましょう。
哺乳瓶は濡れたままではなく水分を拭き取ったほうが良いのでは?と思うかもしれませんが、消毒後の哺乳瓶を布巾で拭くと、布巾についているばい菌が移ったり、毛やホコリが付着してしまったりする可能性があります。消毒が終わった哺乳瓶はできるだけ触れずに、自然乾燥させるようにしてください。
煮沸消毒や電子レンジ消毒後の哺乳瓶は高温になっているため、すぐ乾きます。薬液消毒の場合は、殆どの製品が乾燥させずにそのまま使えます。
哺乳瓶の洗浄と消毒の方法以外にも、哺乳瓶を使う上で気を付けることがあります。
ミルクは毎回調乳し、冷ましてから赤ちゃんにあげなければなりません。この「冷ます」工程になかなか時間がかかり、「作り置きできないのかな?」と考えるママ・パパも多いと思います。
結論から言うと、ミルクの作り置きはできません。多くのメーカーが販売している粉ミルクには「調乳後2時間以内に与える」と書かれています。今回の記事で何度かご紹介したように、ミルクには栄養成分が沢山入っているため、作り置きしておくと空気中のばい菌が増殖してしまうからです。
お腹が空いて泣いている赤ちゃんに早くミルクをあげたいのに、熱々のミルクを冷ましている時間はとてももどかしいですよね。沸騰したお湯で作ったミルクにミネラルウォーターを加えて冷ますことを考えるかもしれませんが、それには注意が必要です。
ミネラルを多く含んだ水は、赤ちゃんの内臓に負担をかけてしまうことになります。もしミネラルウォーターを使用する場合は、できるだけミネラルの少ない軟水を選んでください。
ミネラルウォーターが不安な場合は、ベビー用品コーナーなどで調乳用水が売られているのでそちらを使用してみてください。
哺乳瓶は、赤ちゃんに直接授乳ができない場合、搾乳した母乳を入れて授乳する際にも使います。搾乳する場合は必ず手洗いを実施し、清潔な手で消毒済みの容器や搾乳器を使用します。また搾乳した母乳には使用期限があるため、搾乳した日時をメモして管理するようにしてください。
消毒済みの容器に入れた搾乳した母乳は、冷蔵庫であれば24時間は保存できるとされています。
搾乳を24時間以内に赤ちゃんに与えることができない場合は、冷凍保存専用パックを利用してください。冷凍保存の場合は、1~2週間が目安です。ただし、家庭用の冷蔵・冷凍庫は温度の変動があるため、期限に限らずできるだけ早く使うようにしましょう。
何かと手間のかかる哺乳瓶の消毒。毎日のことなので、無理せず道具に頼ることも大切です。消毒用の道具はいろいろな製品が販売されているので、ご自身や赤ちゃんに合った方法を見つけて、安全・快適に子育てしていきましょう。
トイザらスでは哺乳瓶の消毒用品を取り扱ってあっています。ぜひチェックしてみてください。
監修
早川晃代 さん
医療法人社団双葵会
八丁堀さとうクリニック 助産師
助産師、看護師、保健師国家資格修得後、日本医科大学武蔵小杉病院に13年間勤務する。在籍中に分娩介助、ハイリスク妊産婦や新生児のケア、母乳育児のサポートを経験。現在は八丁堀さとうクリニックにて産前の保健指導や産後の母乳育児ケアを実践している。
医療法人社団双葵会
八丁堀さとうクリニック 助産師
助産師、看護師、保健師国家資格修得後、日本医科大学武蔵小杉病院に13年間勤務する。在籍中に分娩介助、ハイリスク妊産婦や新生児のケア、母乳育児のサポートを経験。現在は八丁堀さとうクリニックにて産前の保健指導や産後の母乳育児ケアを実践している。